ゆるっと解説:刑法の適用範囲とエロサイト

https://www.bengo4.com/internet/1074/n_5834/今日は、このニュースをネタに、刑法の場所的適用範囲、特に国内犯の理解についてちょっと解説をする。 刑法は、日本国内で犯された犯罪すべてに適用される*1。これを国内犯と呼ぶ。 また、日本国籍の船舶・航…

事例とメリットから考える集団的自衛権

二年前に集団的自衛権について書いたのを思い出し、あれから話が色々と進んできたので、追記として政府が提示する事例やメリットについて整理する。 邦人輸送中の米艦防護 安倍総理が記者会見で出した事例である。この事例は、「邦人輸送中だから」米艦防護…

業務上過失を殺人に繰り上げるためのハウツー

具体的にどの事件のことを扱っているか言ってしまうと色々怒られそうなので、以下に仮想事例を挙げてみよう。「客船の船長であるAは、自身が監督する船が事故により転覆した際、乗客を救う等の措置をとることなく、真っ先に船から逃げ出した」このような事例…

集団的自衛権と日本国憲法について

私は憲法の専門家ではないため、憲法に関しては素人に毛が生えた程度にしか理解していない。それゆえ、本記事も解説や分析というより、私自身の疑問を書くことになると思う。 そもそも自衛戦争とは 誤解の多い点だが、そもそも国際社会でも侵略戦争は禁止さ…

刑事訴訟法的に職務質問のハウツーを考える

たまにネットの書き込みなどで職務質問との闘い方的なハウツーを見かけます。しかし、そのどれもが少し乱暴に法律や判例を解釈しているせいで、実際にやると本人に思わぬ不利益をもたらす可能性があるので、今回は刑事訴訟法的に正しい職務質問のされ方につ…

科学主義と刑事政策 Evidence basedの罠

死刑の是非を語る上で、どうしても外せないのが死刑の抑止力の議論である。今回死刑の抑止力とその実証的研究について語っても良いのだが、じっくりとやりたいテーマでもあるので、それ自身は今後に回すとして今回は科学主義そのものについて少し述べておき…

刑事訴訟法475条二項但書の読み解き

平田容疑者の出頭 年明けのトップニュースといえばこれに尽きるだろう。すでに様々な報道がなされているが、今回は平田容疑者の出頭の理由ではないかとも疑われている、死刑執行の遅延について着目したい。 刑事訴訟法475条の基礎知識 刑事訴訟法475条 一、…

不定期シリーズ 死刑の視点・論点 ①死刑は殺人か?

その通り、殺人である。…と、ここで終わってしまってはあまりに乱暴なので、もう少し説明を加えよう。刑法学(と身構えるほどのことでもないのだが)に於ける犯罪の要素で言えば、死刑は殺人行為ではある。更に厳密に言うなれば、殺人罪の構成要件には該当す…

刑法学者の脳内事件簿 解決編 その1

ケース1は、法に基づく適正手続、「デュープロセス」に反する事案である。 日本国の憲法においては、三十一条の「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」として規定されている。これに…

刑法学者の脳内事件簿 その1

ケース1 エヌ氏は東京拘置所に勤める刑務官で、その日ある重要な任務を果たすはずであった。しかし、エヌ氏は当日寝坊をしてしまった。急いで家を出たエヌ氏は、法定速度を破り職場への道をすっ飛ばしていた。そして、道の真中に飛び出してきた歩行者をエヌ…

アメリカの格差是正デモと犯罪学を語る上で大切なこと。

世界的広がりを見せる格差是正デモと日本の若者の動き アメリカで始まった格差是正デモは世界各地に飛び火し、大きなウネリとなっている。 以下はFNNニュース(http://www.fnn-news.com/)よりの引用である また、ペンシルベニア州ピッツバーグで、2,000人規…

ポリティカル・コレクトネスと不謹慎の狭間

Remus passed away during an important civic function held in his honor when the platform upon which he was standing collapsed. レムスは彼自身の名誉に関わる重要な市民の義務を果たす最中に立っていた台が崩れて他界した。 さて、これは一体なんの…

ブログ開設とプーチン元大統領の再選について。

このブログは、実は筆者4年目三回目のブログ開設である。計算上、二年に一度ブログを初めては閉じていることになる。3回目のチャレンジというのは、大統領だったら通常許されない回数である。大統領の任期は国によって異なるが、多くの国において共通してい…